2024年、世界の消費者は、自身の将来をポジティブに考える傾向が高まっている。ユーロモニターインターナショナルが2024年に実施した消費者のライフスタイルに関する調査「ライフスタイルサーベイ」(40カ国、各国約1,000名を対象)によると、回答者の52%が「自身の生活は今後、より良くなる」と感じ、58%は「現在より幸せになると思う」と回答した。
このような消費者の感覚が、購買行動や消費意欲の高さに繋がっていることは、企業にとって見逃せない事実である。
インフレ率は低下しているものの、物価高への懸念は根強い
インフレ率は、2022年と2023年の記録的な高水準から徐々に低下しているが、2024年も消費者は、日用品の価格高騰を警戒している。しかし、バーゲンハントのようなコスト節約戦略の動機は減少する一方、ブランド品への嗜好や、時間を節約するための出費は増加傾向にある。最新の調査結果によると、2024年の消費トレンドは、自分の好みを探求し、実行したいという欲求を原動力とする、より目が肥えた、正当な消費と特徴づけられる。
サステナビリティに対する消費者の見方は成熟
消費行動において、サステナブル志向はインフレ・価格上昇によって打撃を受けた。買い物客は、価格の高いオーガニック商品やエシカル商品を敬遠し、安価な代替品を好むようになった。「ライフスタイルサーベイ」の結果を過去に遡って見てみると、サステナビリティに関する行動や買い物の動機は、インフレ率が急上昇する以前から減少しており、下降傾向にあることがわかる。しかし、ユーロモニターの分析によれば、消費者の間でサステナビリティの重要性が失われたというよりも、サステナビリティに関する見方や行動が、特定の消費行動に集中しつつあるといえる。
一定の知識が備わったからこそ、消費者は、あらゆる製品の購入時にサステナビリティを意識するというよりは、より価値があると感じられるグリーン訴求の製品を購入するようになった。例えば、オーガニック食品の購入は、自分にとって価値があり、アクションとしても取りやすい一方、リサイクル・リペアやサステナブルに製造されたアパレルブランドの購入には消極的な消費者がいる。このことは、消費者が、特定の製品カテゴリーの中で、さらに特定の環境的・サステナビリティ訴求の製品に対し、より高い支出意欲を示していることからも明らかだ。
企業は、サステナビリティに対する見方が成熟する消費者に対し、既に成功している分野ではその特性を活用し、遅れている分野では改善に向けた集中的な戦略を検討する必要がある。
オムニチャネルの考え方を享受する消費者
サステナビリティに対する消費者の姿勢が成熟してきているのと同様、オンラインとオフラインの境界がより曖昧になり、オムニチャネル・ショッピングは人々の生活の中で、一層定着しつつある。「オンライン購入をする」と回答した割合は、ミレニアル世代に比べてベビーブーマー世代は圧倒的に少ないことや、ペットフードよりも小型の電子製品をオンラインで購入する消費者が多いことなど、世代間や購入製品で明確な嗜好の差が見られる一方で、消費者は、ニーズや日々のルーティンに合わせてオンラインとオフラインを使い分けることに落ち着いているようだ。
“食料品や必需品については、オフラインよりもオンラインで購入する。オフラインに行くのは、探している特定の商品が見つからないときのみ。また、趣味に関連するアイテムについては、よりオンライン・プラットフォームを探索するようになった”
- ミレニアル世代、シンガポール(ユーロモニター・アナリスト・パルス調査、2024年)
ソーシャルメディア・マーケットプレイス
世界の消費者の58%が、「インターネットがなければ自分は何もできない」と感じていると回答しており、消費者にとってテクノロジーは、もはや無くてはならない存在である。インターネットはツールであると同時に依存する存在でもあり、プライバシーを気にしながらも、対面でのやりとりよりも オンラインでのやりとりを好む人が多い。ソーシャルメディアは、全体の約4分の3が、「少なくとも週に1度は利用している」と回答したほど、消費者の生活に浸透しつつあるが、その一方で、34%の回答者はテクノロジーが日々ストレスになるとも感じている。
心理的な側面はさておき、ソーシャルメディア・プラットフォームは、ますます商品やサービスを売買する場へと変貌しつつある。この傾向は、TikTokやInstagramのようなプラットフォームを実際に確認すると一目瞭然だが、「ライフスタイルサーベイ」調査の結果を見ても、消費者が新たな購買チャネルとして、これらのプラットフォームを受け入れていることがわかる。2023年から2024年の間に、ソーシャルメディア・プラットフォーム経由で購入を行う消費者の数は、14%から18%に急増した。ミレニアル世代とZ世代がこの傾向を牽引したが、ベビーブーマー世代も、前年比で最も高い伸びを示した。消費者のほぼ4分の3が、少なくとも週に1回はソーシャルメディアを利用していることから、このチャネルを通じた購買は今後も伸び続ける可能性が大いにある。
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